兵役の仕組みと訓練内容
◆韓国の兵役法では「30歳を超えて兵役の延期はできない」と規定されている。ということは、兵役を延期できるのはぎりぎり30歳までなのだ。
ところで、兵役における年齢の計算方法は特殊。「現在年-出生年」が1月1日から12月31日まで適用される。たとえば、1987年生まれであれば、「2016-1987」歳となり、誕生日にかかわらず今年1年はずっと29歳と計算される。
◆19歳になる年に徴兵検査で「現役兵」と判定されたら、すみやかに入隊しなければならないが、「病気」「大学や大学院に在学中」「幼い子供を養育中」などの理由があれば延期できる。芸能人の場合は延期の規定に当てはまらないが、社会的な影響力を認められて慣例として延期が許可される場合が多い。
◆現役兵として入隊すると5週間の新兵訓練を受ける。
まず、訓練所に入った新兵は登録作業を終えると、身長・体重などの体格を測定し、活動服(生活するときに着る服)の支給を受ける。1日目の予定はこれで終わり。以後は夕食を食べて兵舎で休む‥‥が、なかなか休めない。兵舎の板間でザコ寝で、自分のスペースは1畳ほど。他人が気になって仕方がない。
2日目の重要な日程は健康診断だ。軍務に耐えられる健康体であるかどうかを詳細にチェックされる。3日目には知能検査や適性検査がある。みんなが必死にマークシートを塗りつぶしていく。
4日目になると、軍服と小銃を割り当てられる。3泊4日の準備期間を経て、いよいよ連隊入隊式に臨み、軍人としてのスタートを切る。
本格的な訓練が始まると、まずは精神教育と制式訓練を受ける。前者で軍人としての心構えを徹底的に仕込まれ、後者で軍人らしい敬礼と歩行を学ぶ。同時に、軍隊式の体操を習ったり、軍歌を覚えたりする。ランニング中にはみんなで軍歌を歌うので、絶対に覚えなければならない。
以後は、射撃訓練、手榴弾訓練、催涙弾体験訓練、行軍などの厳しい訓練を受ける。
◆5週間の新兵訓練を終えると、所属部隊に配属される。どの部隊に行くかが一番肝心。かつては軍幹部が自分の息子を軍務が楽な部隊に行かせて大問題となった。公平を期すために、新兵訓練中にコンピューターによる無作為抽出方法で所属部隊を決めるのが原則となっている。
◆軍隊を最小単位からいうと、分隊→小隊→中隊→大隊→連隊→旅団→師団となる。師団は少将がトップになるのが一般的で、兵員は1万人くらいが多い。この師団が40ほど集まって韓国の陸軍が成り立っている。
◆陸軍は、入隊から3カ月で二等兵から一等兵になり、次に7カ月で上等兵になる。ここまで昇格すると、軍隊でも余裕ができる。夕食後の休憩時間に自分の好きなことを楽しめるようになる。
◆真冬の陸軍兵士を悩ませるのが「警戒勤務」。いわゆる歩哨のことである。警戒勤務は1時間交代。2人一組で弾薬庫や軍幹部の宿舎などを警護する。真冬の夜中に警戒勤務をしたときは、あまりの寒さに、終わってから布団に入っても身体が震えて寝られないという。
◆軍隊に行った人に「何が一番つらかった?」と尋ねると、たいてい雪上訓練と答える。真冬の戦闘を想定し、厳寒期に雪の上にテントを張って何日もひたすら寒さに耐える訓練だ。韓国軍の訓練はすべて寒い北朝鮮との戦闘を想定したもの。雪上訓練は特に重要なのである。
◆各師団には一般的に、カトリック、プロテスタント、仏教の各宗教施設がある。主に日曜日の午前に集会があり、個人的な自由意思で参加したり、しなかったりする。参加率は高い。理由は明白。参加者はチョコパイなどをもらえたりするからだ。
◆陸軍の休暇制度の根幹は「年暇」。入隊6か月後に10日間、入隊12か月後に9日間、入隊18か月後に9日間もらえる。合計で28日間である。
◆韓流スターが入隊すると、「先輩にいじめられるのでは?」と考えるファンも多いが心配無用。有名人をいじめると損するのはいじめた当人。目立ちすぎて組織から処罰されるのは必至。それよりスターと仲良しになったほうが後で自慢できて得する。かくしてスターは一目置かれる。
◆現役兵としての軍務(陸軍なら21か月)が終われば韓国の兵役は終了、と考えたら大間違い。除隊後は予備役となり、毎年定期的な軍事訓練(1年間に20-28時間)を受けなければならない。韓流スターも同様だ。完全な兵役終了は40歳。かくも兵役は長く続くのである。
source:ロコレ
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